多樂スパイス
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自分が好きなことを見つけて無我夢中で取り組み、ひとつずつ目標をクリアする。そうやって愉しみながら、自分という人間をぶ厚くしていく……。今がベストで、未来には未知の楽しみがある。これが、多樂の本質である、と『多樂スパイラル』のまえがきで書いたが、その原理原則は今も変わっていない。

日々の生活のなかで、森羅万象に潜む多樂をいかに味わうか。心に映りゆくよしなごとを書き留めておこう。それが読者の方々にとって、なんらかのスパイスになればとの願いもこめて…。

 

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無造作に逸品が集まっている場

2016.05.01

雨竹庵 GWもふだんと変わらない生活をしている。どこへ行っても人がワンサカいるのであえて行楽に出かけたことはないのだが、家人と羽生にある雨竹庵に行ってきた。ひさしぶりに盆栽が欲しくなったからである。

 「美の殿堂」だと思った。主役の盆栽の他、由緒ある水石もあれば、横山大観の掛け軸なんかが無造作に掛かっている。仰々しくないのが素敵だ。
 まず、侘び助が植えられていた坂田甚内氏の鉢に合うものをみつくろってもらった。堀越社長から、「高久さん、これ、案外いいですよ」と薦められたのは、右下写真のイチョウ。
「へえ〜、イチョウってこんなにまっすぐ伸びるものなんですね!」
 すっくと立っている姿に感動した。鉢とのバランスもいい。
 他にイヌビワとミツデイワガサを購入した。イヌビワは小さな実がいくつかついている。ミツデイワガサは小ぶりで白い花がなんともチャーミングだった。

 

 イチョウ森前誠二さんがいらっしゃったので、お茶をいただきながら雑談をした。
 相変わらずのお人だ。壁に掛かっていた扁額が気になったのでそれとなく訊くと、待ってましたとばかり由来を語ってくれた。
 明治初期に生きた山中信天翁の直筆で「自在天」とある。自らは天に在り、という意味だろう。
 不勉強で、私は山中信天翁を知らなかった。森前さんはその生き方と識見に感服しているという。
 森前さんが京都と中国・西安で進めている美術館の話を聞いているうち、あっという間に時間は過ぎた。
 教養、見識ってなんだろう。森前さんは芸術の見方から歴史認識まで、すべて実学に基づいているから、聞いていて腑に落ちる。本人は「中卒なので頭が悪いが」とおっしゃるが、森前さんほどさまざまな文化に通暁している人は珍しい。
 実学の人は、ほんとうに面白い。
(160501 第633回 写真上は雨竹庵の一部。下はイチョウの盆栽) 

 

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