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紺碧の将

57歳で「いい音楽のあるバー」を起業

2016.03.26

音楽バーの二人 行ってみたいと思っていたバーがあった。Good Music Bar「YOUR SONG」。

 その名の通り、いい音楽を聴かせる店である。この場合の〝いい音楽〟とは、1960〜80年代のロックやR&B、ポップスなどの洋楽。赤坂駅と青山一丁目駅のほぼ真ん中、閑静な住宅地にあり、周囲には瀟洒な邸宅が並ぶ。高橋是清記念公園から歩いて数分のところにある。
 経営をしているのは、山田賢二さん。パートナーは山崎八州夫さん。小学校以来の親友をつないでいたのは〝いい音楽〟だった。
 山田さんは大手ビール会社に、山崎さんは大手信販会社に勤めていたが、「サラリーマンで人生を終えるのではなく、次のステージでもひと花咲かせたい」と、57歳で起業した。開業資金3,000万円も二人で出し合った。
 この店の名前は、もちろんエルトン・ジョンの曲からとっているが、「一人ひとりにとってのいい歌を聴いてもらいたい」という意味も込められているという。経営資源は約8,000枚のレコード。他にCD、DVD、本もたんまりとある。
 早い時間に行ったので客がほとんどいなかったのが幸いしてか、私が口にするアーティストや曲が次々と流れてきた。この店には2台のレコード・プレイヤーとCDプレイヤーがあり、ひとつの曲が終わるとすかさず次の曲が始まるのだ。
 追悼の意味でデヴィッド・ボウイーの『Station To Station』をかけてもらった後、カウンター越しにお二人と歓談しながら、T・レックス、ローリング・ストーンズ、ドアーズ、イーグルス、エルトン・ジョン、オールマン・ブラザーズ・バンド、ビートルズ、エルヴィス・プレスリー、レッド・ツェッペリン、B・B・キング、リンダ・ロンシュタット、ノラ・ジョーンズ、エリック・クラプトン、J・J・ケイル、C・C・R、ニルヴァーナなどを聴かせてもらった。気がつくと、3時間以上が過ぎていた。じつに至福の時間だった。
エルヴィス! 思えば、私も狂ったように洋楽を聴いた。現在の主戦場はクラシックだが、今でも当時聴いたロックは大好きだ。IPodにもたくさん入っている。
 リアルタイムで聴いたのは、73年からだろうか。次はどんな作品になるんだろうと思うと、それだけでワクワクした。そして、期待を裏切らない作品が次々とリリースされた。あの頃はいったいなんだったのか。社会全体に、斬新なロックを生み出すパワーがあった。
 しかし、80年代も後半になってくると、英米のロックには興味がなくなった。イージーリスニングとしか思えなくなったからだ。正直、イージーリスニングなら無音か自然の音の方がいい。パソコンの打ち込みは、もはや問題外である。
 そこで私のアンテナは第3世界、いわゆるワールド・ミュージックとクラシック、ジャズへ向かい、現在に至る。音楽は血肉になり、いつも頭の中を駆け巡っている。
 そういえば、先日16年ぶりくらいに会ったかつての社員に言われた。
「高久さん、いつも鼻歌うたってますね。あの頃と同じですよ」
 そう。私は仕事の打ち合わせ中もつい鼻歌が出てしまい、クライアントに顰蹙を買ったが、べつに遊び気分でやっていたわけではない。つい、出てしまうのだ。
 というのは、言い訳にならないだろう。実際、鼻歌をうたいながら仕事の打ち合わせをするような男は信用できない。それでも仕事が途切れなかったのは、僥倖という以外ない。
 さて、還暦を間近に控えた二人の男のチャレンジが、今後どう実を結ぶか、興味は尽きない。
 安倍さんが打ち出した「一億総活躍社会」のコンセプトはまことに正しい。要は、「みんな、働ける人は働こうよ」ということである。まして、それまで社会の中枢で頑張ってきたサラリーマンたちが定年とともに隠居するなど、もってのほかだ。当人にとっても社会にとってもいいこととは思えない。
 その点、山田さんと山崎さんはお手本と言っていい。
 Good Music Bar「YOUR SONG」、ぜひ行ってみてください。
http://www.ysong.jp/
(160326 第625回 写真上はGood Music Bar「YOUR SONG」の二人。左が山田賢二さん、右が山崎八州夫さん。写真下はエルヴィス・プレスリーのシングルレコード)

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