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紺碧の将

絶景かな雪景色と北山ひとみさん

2008.02.19

 去る2月9日、仕事の打ち合わせをかねて二期倶楽部を訪れた。

 おりしもその日は関東全域で雪が降っており、私は車で行くことを断念し、那須塩原駅まで新幹線で行き、そこからタクシーで二期倶楽部へ向かった。

 今年の夏から秋にかけて、二期倶楽部では文化をからめた2つの試みを始める。ひとつは、地元や東京の美術作家を招いてのアートフェスティバルと仮面舞踏会。あの文化の桃源郷とも言える舞台がアーティストの表現の場に変わるのだ。もうひとつは、さまざまな分野の専門家を招いての「山のシューレ」(シューレとは学校という意味のドイツ語)。それに参加すれば、愉しく学べるという、まさに二期倶楽部ならではの企画だ。

 昨年、『fooga』11月号で二期倶楽部館主で二期リゾート社長である北山ひとみさんを紹介して以来、いろいろとおつきあいいただいているのだが、こういう形で仕事に関わらせていただくことになるとは夢想だにしなかったので嬉しい限りである。

 さて、当日の夕方、6時半くらいからプロジェクトチームの顔合わせも兼ねて、ミーティングルームで会食となった。会食は夜半まで続くことになるのだが、途中、トイレに行くためにミーティングルームを出た時だった。

 私の目に飛び込んできたのは、まさにこの世のものとは思えない、幻想的な雪景色だった。シーンと冷え切っているのに、見るからに暖かそうな光景。東館に隣接する雑木林の枝々に雪が積もり、数本のスポットライトを浴びて薄墨色の闇に浮かび上がっている。

 思わず息をのみ、「うぉー! きれい!」と、雄叫びをあげてしまった。

 ミーティングルームに戻り、北山さんにそのことを伝える。たぶん、彼女は何百回となくファンタジックな雪景色を見ているはずだが、まるで少女のように目を輝かせ、外へ飛び出した。そして、感嘆しながら雑木林の小径に入っていく。

「北山さんは最高の芸術作品を作りましたね」

「いいえ、私ではなく、自然の力ですよ」

 もちろん、自然の力がなければできないものだろう。しかし、自然の力だけではあのような美しき風景は作れない。八ヶ岳に拠点を構える俳優の柳生博氏も言っていたが、自然は人間の力が適度に入った状態がいちばん美しいという。

 もし、あの雑木林を自然のままに放置していたら、かなり違う風景となっていただろう。枯れた枝が地上に重なり、太陽の光が届かずジメジメとし、蜘蛛の巣がはって風通しも悪い。陰鬱な林になっていたにちがいない。

 ただ、見方を変えれば、こうも言える。ある外国の学者が言っていたそうだが、地球環境問題も、地球そのものにとっては二酸化炭素が増えようが水が減ろうが問題ではないということ。人間にとって悪化しているという話に過ぎない、と。その論法に従えば、陰鬱な雑木林も地球にとってはなんら悪いものではないのだろう。

 しかし、やはりわれわれ人間は、自然と人間の美しき接点を求めてしまう。

「今までに何百種類もの雪景色を見てきたけど、それを一冊の写真集にできたらいいわよね」

 やはり、二期倶楽部は周りの広大な林も含めて、北山ひとみさんの作品である。一人の思いがこのような形に結実したケースを、私は他に知らないのである。

(080219 第36回 写真は、翌朝の露天風呂 )

 

 

 

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