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紺碧の将

平和はタダでは得られない

2013.10.29

原爆ドーム 仕事で広島へ行ったついでに、原爆ドームを見て来た。

 まさに百聞は一見にしかず。一発の原爆により当時の広島市の人口約35万人のうち9万人から16万6千人が被爆から2~4カ月以内に死亡したというのだから、まさに〝悪魔の兵器〟そのものだ。

 当時の地獄絵図さながらの状況は、実際に体験した人でなければわからないだろう。写真だけでもあまりに酷すぎて正視に耐えないが、現実はどれほど悲惨な状況だったのか。想像力だけではどうにもならない。

 広島に落とされた3日後、長崎にも落とされ、日本の命運は決まった。それでもまだ戦争を継続しようというバカが陸軍を中心に多数いたが、昭和天皇や鈴木貫太郎などの尽力により、日本はようやく長い戦争にピリオドを打つことができた。

 さて、日本はあの戦争からどれほどの教訓を得たのだろう。そう思わずにはいられない。

 日本はGHQがつくった憲法を受け容れ、平和国家として新たな一歩を踏み出した。幸いといおうか、戦後すぐに東西のイデオロギー対立が激化し、日本はアメリカの核の傘に入りながらそのメリットを貪り続けることができた。

 が、すでにイデオロギー対立はなくなり、世界は混迷を深めている。「世界の警察」たらんとしていたアメリカの凋落傾向はいっそう鮮明になり、世界のパワーバランスが流動化し始めている。中国の軍事的台頭はその最たる例だ。

 私は、戦争を起こさないために現在の憲法を変えるべきだと思っている。日本が大東亜戦争に突き進んでいった原因のひとつに、明治憲法の不備を放置していた不作為があるのだが、それと同じように、現憲法には多くの不備がある。それをそのままにし、平和憲法があれば平和を守ることができるという迷信こそ、戦争を誘発するのではないか。つまり、戦争を起こさせない状況づくりがなされていないのだ。

 わかりやすい例でいえば、戸締まりもせず、隣人の善意だけを信じて暮らしていた家に強盗が入りやすいということ。一方、いつも戸締まりをきちんとしているとか、警備会社と契約をしているということがわかっていたら、強盗だっておいそれとは入りにくいだろう。

 まさしく日本は強盗をおびき寄せる状況にある。平和憲法があるから、平和を守れる。あるいは、平和憲法があるから、領土的野心をもった近隣の国々は手を出さないと思っていたら大間違いだ。

 スイスは永世中立国を標榜し、事実、第二次世界大戦時はどちらの陣営にも与さなかった。そのうえで、まったく領土の侵犯を受けなかったのだ。

 では、スイスが永世中立国だからヒトラーは侵略をためらったのだろうか。

 ちがう。断じてちがう。

 そのあたりのことは、次回の多樂塾のテーマにする予定なのでここであまり詳しくは書かないが、要するに平和はただお題目だけを並べていれば得られるものではないということ。まして、憲法を改正したら戦争への道を行くことになるという護憲派の言い分は、まったくの妄想であることを明言しておく。

 この話の続きは、いずれ。

(131029 第462回 写真は原爆ドーム)

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