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紺碧の将

パンナが死んじゃった

2013.09.07

パンナ 柴犬のパンナが死んだ。16歳5ヶ月。自然の懐へ帰っていくように、静かに死んでいった。

 我が家には「海」というアイドル猫がいるので、飼い犬の存在はあまり知られていなかったが、娘が3歳のとき、どうしても欲しいというのでペットショップへ行き、買った。海は拾ってきた猫なのでタダだったが、パンナにはお金がかかっている。

 拙著『多樂スパイラル』では、〝おバカ系〟のパンナとして登場しているが、お世辞にも利口な犬だとは思えなかった。そもそも、エサをもらえないとわかっていれば、「お手」もしない。「お手!」と言っても、プイ!と横を向く始末だ。

 しかし、今思うと、案外パンナは利口だったのかもしれない。「エサをくれないのにお手をさせるなど言語道断。犬のプライドにかけて、そんなマネはしないわよ」と意地を張っていたのかも。

 純血種は弱いというのは本当だ。今から5、6年前に緑内障になり、完全に失明。同時に、聴力と嗅覚力も失った。それでも、散歩のときはダッシュで駆け足したからスゴイ。おそらく、飼い主を全面的に信頼していたのだろう。じゃなければ、どこかに激突して死んでしまう。

 徐々に体力を失い、いよいよ自分では立てなくなったのは3ヶ月前ほど。立たせてあげれば立つが、また転んでしまう。すると、鳴く。また立たせてあげる……。その繰り返しだった。つきっきりで面倒を見ていた妻は睡眠障害になった。

 「どう考えても、暑い夏を乗り切ることは無理だろうな」と思っていたが、あれよあれよという間に8月も終わり、もしかしたらこのまま年を越したりして、と思っていた矢先、ついに食べ物を受け付けなくなり、それから2日くらいで臨終を迎えた。

 パンナは飼い犬として、幸せだったと思う。なにしろ、世話好きの妻にとことん世話をしてもらった。庭で飼っていた、いわゆる〝外犬〟だが、庭に扇風機を設置し、暑い日は一日中それを回していた。さらに、放熱ジャケット(水枕が全身バージョンになったようなヤツ)を着せていた。至れり尽くせりで、まるでお大尽様のようだった。だから、あんなに枯れ枝のようになっても、この暑い夏を乗り切れたのかもしれない。

 それにしても、数年前に亡くなった猫のマリリンは22歳7ヶ月。パンナもほぼ完璧な自然死。我が家のペットは、かなり長生きである。

 マリリンにもパンナにも、死に方を教えてもらったような気がする。病気ではなく、自然に死ぬというのはこういうことだよ、と。

 私は「100歳まで現役」を標榜している。そのために、食事、運動など日常生活はもとより、気持ちのもち方にも留意している(つもり)。そして、命の炎を燃やし尽くしたら、枯れた葉っぱが落ちるようにあの世へ行く。それが理想かなあ。

 「パンナ、天国では緑内障なんかになるなよ」

 合掌。

(130907 第451回 写真上は、3年前のパンナ。この時すでに失明)

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