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自分が好きなことを見つけて無我夢中で取り組み、ひとつずつ目標をクリアする。そうやって愉しみながら、自分という人間をぶ厚くしていく……。今がベストで、未来には未知の楽しみがある。これが、多樂の本質である、と『多樂スパイラル』のまえがきで書いたが、その原理原則は今も変わっていない。

日々の生活のなかで、森羅万象に潜む多樂をいかに味わうか。心に映りゆくよしなごとを書き留めておこう。それが読者の方々にとって、なんらかのスパイスになればとの願いもこめて…。

 

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てめェの都合ビジネス

2013.07.26

木造金剛力士立像 世の中の常識っていったいなんだろう、と思わざるを得ないことがとみに多くなった。

 先日、会社に出社、昼休みの後の掃除の時間のことであった。ちなみに、私は週に2日くらいしか出社していない。仕事の場は、社会全体だからだ。掃除は月・水・金曜日の午後一番にするのが会社のルールだ。

 掃除をしようと会社の玄関を出たら、前方から若者が歩いてきた。

「こんにちは! ちょっとよろしいですか」

 服装はきちんとし過ぎているくらいきちんとしている。いかにも優秀そうな面持ちで、おそらく金融機関ではないかと思った。

「これから掃除なんですよ。なにか?」

「○○○銀行です」

 やっぱりな。その銀行とはわずかながら取り引きがある。聞けば誰もが知っているメガバンクのひとつだ。

「今、インターネットバンキングのご契約をいただいているお客様に、手形をネットで発行できるシステムを無料でご提供しているのですが、無料なのでご契約いただけませんか」

 焦りがあったのか、一気に説明をしようと思ったのか、初対面にもかかわらず名刺も出さずにそう言った。

「うちは手形を発行しないので結構です」

「無料ですからお願いします」

 私はだんだん苛ついてきた。

「無料、無料って言うけど、いらないものはいらない。第一、今うちがいきなり手形を発行したら不信感が広がってしまうだろ」

 相手は黙り込んだ。

「それに無料って言うけど、手続きやらなにやら、時間と労力が割かれるわけだ。そういうものはタダじゃないんだよ」

「たしかにそうですね」

「あなたも学校時代はそこそこ優秀だったんだろうけど、そんな仕事をしていておかしいと思わないの? うちの会社は今年27年目だけど、相手が嫌がっているのに無理矢理押しつけるような仕事をしていたら、とうの昔に倒産しているよ。そもそも誰がそういうものを薦めてきなさいと言っているの? もし、上司なら、そういう上司の常識は疑った方がいいし、そういう会社を疑った方がいい。銀行は銀行で、もっと他にやるべきことがあるだろ。銀行の本質とまったく関係がないよ、あなたがやっていることは。ただの上ずみだよ、ウ・ワ・ズ・ミ!」

 だんだん若者の表情が凍り付いてきた。この暑さなのに。

「それにね、優秀な若者にそんな仕事をさせるのは、国家的損失だよ」

 その若者は、「わかりました」と言って、そそくさと帰ってしまった。内心、「なんだこの説教オジサンは。ヤバイ奴につかまってしまったな」とか思っていたかもしれない。

 

 それにしても、人をバカにしている話だ。「無料」だと言えば、なんでも飛びついてくると思っているのだろうか。零細企業はメガバンクの言いなりになるはずだと思っているのだろうか。

 彼らの発想のすべては「自分たちの都合」であって、相手のことはどうでもいいようだ。まして、相手の時間や労力など、価値はゼロとみなしている。私はそういうやり方を「てめェの都合ビジネス」と呼んでいるが、あんな仕事のやり方をしていて、はたして喜びは一片ほどもあるのだろうか。

 今でも大学生の就職人気ランキングを見ると、銀行など金融機関が上位にいる。私にはまったく理解できないのだが、安定性、高収入、世間体などが「魅力」と映っているのかもしれない。ま、それはそれでいい。価値観は人それぞれだから。

 しかし、そういった優秀な若者を集める以上、もっと銀行本来の仕事をやらせるべきではないか。例えば、顧客の業務内容、その会社が何を目標にしているのか、社会における存在理由と価値は、経営者の考え方は、会社の長所と短所は……などを詳しく調べ、その会社が少しでも良くなるようにアドバイスをする、あるいは融資とセットで提案をする、情報提供をする等々。もちろん、そういうことは一長一短にはできない。社会を知る必要があるし、それ以上に人間学を学ぶ必要がある。

 そういうことを経た上で人間関係が構築できれば、時には必要ないものも「おつきあい」で契約するのが人の情というもの。

 なぜ、あのような仕事をすることに何らの疑問を抱かないのか。

 もしかすると、中途半端に優秀なのがいけないのではないか、とも思えてくる。なぜなら、そういう人たちはそもそもリスクをとらないだろうし、案外、素直なので会社に洗脳されやすい。だって、洗脳されていなかったら、あんな仕事のやり方はいつまでもできるものじゃない。私なら気が狂ってしまうだろうな。

 私の友人に、二人の娘をもつ男がいる。彼は、「娘が誰と結婚してもかまわないが、金融機関で働いている人だけは親類と認めない」と断言している。おそらく、そう言わせてしまうほど、強烈に嫌な体験があったのだろうことは想像に難くない。

 もちろん、金融業界の中にも、まっとうな仕事をしている人はいるだろう。ただし、彼らはあくまでも少数派だ。大手金融機関だからといってふんぞり返っていないで、渋沢栄一の本を読むとか、もう一度人間学を勉強するとか、少しやり方を変えた方がいいんじゃない? と余計なお節介をしたくなる今日この頃である。そもそも渋沢がつくった第一国立銀行って、今の○○○につながっているんだよね。

 大企業の常識……、う〜ん、なんだろうね。わからない私がおかしいのだろうか。いちいち若者に説教を垂れる方がおかしいのだろうか。

(130726 第441回 写真は、木造金剛力士立像)

 

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