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紺碧の将

ワサブローさん、ス・テ・キ

2007.12.22

 一昨日、『fooga』月号特集記事でご紹介するワサブローさんのリハーサル風景を撮影するために、世田谷の音楽スタジオを訪れた。

 ワサブローさんは京都出身、パリ在住のシャンソン歌手。すでにフランスで30年以上も活動を続け、フランス政府からシュヴァリエを受章している稀有な日本人である。都内で行われるディナーショーの本番を間近に控えてのリハーサルであった。

 撮影は、もちろんナベちゃんこと、渡辺幸宏氏、『fooga』の特集における彼の役割はとても大きく、もはや彼の写真ぬきでは、『fooga』らしさは作れないと私は思っている。その人がその人たる所以、その人らしさ、その人の来し方が現れる一瞬を逃さず、カメラに閉じこめる。もちろん、それは対象者に感情移入しているからこそできる業。

 当日、残念ながらワサブローさんは風邪気味で、声の調子が悪かった。そのためにかなり声量を抑えてのリハーサルだったが、それでも表現力はまさしく名人の域。演奏が始まるやいなや、ナベちゃんは「CD、欲しくなっちゃった」とつぶやいた。ワサブローさんの口から発せられた声は、生きて空気中を伝わり、ナベちゃんや私の耳にスルッと入ってきて、心のあちこちを刺したのだった。

 歌い始めると、瞬時に自分の世界に没入し、演じきってしまうのは条件反射なのか、と感嘆してしまった。だって、狭い音楽スタジオでのリハーサルで「演じる」必要はないのだから。そこが、INTERPRETE(演じる人の意。※フランス語表記ができないので、不完全な表記となっている)と言われている所以。そう、ワサブローさんは「歌手」ではなく、「演じる人」とカテゴライズされているのだ。

 さて、ワサブローさんの特集は「パリ×京都=ワサブロー 永遠の異邦人 ワサブロー」という変な計算式まがいのタイトル。巨大な共同社会である日本を飛び出して、あえて異国で異文化に挑戦したいきさつ、パリと京都という世界にも稀な情感を持つ都市のエッセンスを持っているがゆえに表現できること、しかし、いずれの場所においても異邦人であること、そして、それゆえ表現できること……といった切り口で、現在執筆を進めている。

 右上の写真はスタジオでのリハーサル風景で私が撮ったものだが、ナベちゃんが写すとどうなるか…。それも次号の見所である。

 乞うご期待。

(071222 第27回 )

 

 

 

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