多樂スパイス
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自分が好きなことを見つけて無我夢中で取り組み、ひとつずつ目標をクリアする。そうやって愉しみながら、自分という人間をぶ厚くしていく……。今がベストで、未来には未知の楽しみがある。これが、多樂の本質である、と『多樂スパイラル』のまえがきで書いたが、その原理原則は今も変わっていない。

日々の生活のなかで、森羅万象に潜む多樂をいかに味わうか。心に映りゆくよしなごとを書き留めておこう。それが読者の方々にとって、なんらかのスパイスになればとの願いもこめて…。

 

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モリソンの海にたゆたう

2012.07.14

 『Japanist』第13号でご紹介した現代彫刻家・モリソン小林さんの個展(厳密には、奥様との二人展)が、今月7日から東京・中目黒の〈GÉODÉSIQUE〉で開催されている。

 『Japanist』での記事のタイトルは、「枯れいくものへの哀惜」とした。モリソンさんは、植物が命を燃やし尽くし、枯れてゆく様子にシンパシーを重ね、仕事で培った金属加工の技を用いて、鉄で枯れゆく植物を表現している。わざと腐食させたり、錆びた色にしたりと、さまざまな手を用いて経年変化の妙を表現している。

 「とにかく、新しいものより、枯れてゆくもの、朽ちてゆくものに心を動かされるんですよね」

 世はあらゆる分野で「アンチエイジング」花盛り。年齢を重ねることや経年変化は悪いことだとされている。青春時代を思い出して、「あの頃に戻りたい」とため息をつく人も少なくない。

 いったい、そんな感傷に浸って何が楽しいのか? と思う。極論をいえば、過去に戻りたいということは、現在の自分を否定することだ。私はまちがっても10代や20代に(もちろん、30代にも)戻りたいとは思わない。もう一度、創業の頃から人生をやってみて、と言われたら、即座に拒否するだろう。あの頃も危ない橋だらけで、それはそれで結構楽しんでいたと思うけど、今の方が断然オモシロイ日々をおくっているからだ。

 当時、自分で定めた『コンパス・ポイント30カ条』には、「歳を重ねることの価値に気づいている。いたずらに若い時の自分を懐かしがらない」という項目がある。同時に、「今がベストで、未来には未知の楽しみがある」という考え方は、今もっていささかも変わっていない。

 ……という人間にとって、モリソンさんの作品は、じつに心に沁みいるのであった。

 今回の個展では、おなじみ、鉄で作った植物や流木の彫刻「精霊」シリーズ、創作家具も展示されているが、「この作品と生活をともにしたら、どんなに素敵だろう!」と思わせるものばかりで、困ってしまった。なぜなら、そのすべてを購入することはできないから。

 それでも、慎重に吟味し(心の中で悶絶ながら)、2つの作品を買い求めた。ささやかながら、「その作家を気に入ったなら、彼(彼女)の作品を買え」が私の信条でもある。それが、その人を応援することになるし、現に私もそういう風に多くの人たちから支援をいただいている。「思い」というのは、けっして一方通行ではなく、双方向なのだと思い知らされるこの頃である。

 会期が終わると、その2つは私の手元にやってくる。機会があれば、このブログでその作品を紹介したい。

〈GÉODÉSIQUE〉での展覧会の情報は、

http://www.geodesique.co.jp/news/index.php

 モリソンさんのブログもオススメ。


http://www.specialsource.jp/

(120714 第353回 写真は、モリソン小林氏と私メ)

 

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