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自分が好きなことを見つけて無我夢中で取り組み、ひとつずつ目標をクリアする。そうやって愉しみながら、自分という人間をぶ厚くしていく……。今がベストで、未来には未知の楽しみがある。これが、多樂の本質である、と『多樂スパイラル』のまえがきで書いたが、その原理原則は今も変わっていない。

日々の生活のなかで、森羅万象に潜む多樂をいかに味わうか。心に映りゆくよしなごとを書き留めておこう。それが読者の方々にとって、なんらかのスパイスになればとの願いもこめて…。

 

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国の宝を守る姿

2012.07.06

 岡山へ出張したおり、修復中の姫路城を見てきた。

 前回訪れたのは、ちょうど今回の修復に入る直前だった。初めて見る姫路城は、うっとりするほど美しく、日本人の美意識をあらためて認識したものだ。

 姫路城のなりたちは、羽柴秀吉の石垣造営に遡る。その後、池田輝政が本格的に築城、本多忠政が改修した。関ヶ原が終わってからの築城なので戦禍に遭わなかったこと、太平洋戦争中も白い漆喰を黒く塗って爆撃の目標にならないよう努めたことなどが功を奏して、奇跡的に爆撃を逃れたため、築城当時の姿が多く残っているというのが、姫路城を格別の城としている主な理由だ。

 くわえて、もともとのデザインがいい。天守閣などの建築物はもちろん、そこに至るまでの通路はいくたびも角度を変え、さながら数十枚の絵画を見るごときである。

 今回の修復は5年をかける大規模なものだが、まず、天守閣をすっぽり覆う素屋根を設け、そこに8階建ての見学棟を併設。エレベーターで8階まで上がり、屋根修理を見学。7階に下り、壁画修理を見学するというもの。

 私が訪れたときは、主に漆喰塗りの最中だった。漆喰の白に至るまで、何重もの下塗りを経ていることがわかった。心なしか、作業員も誇らしげであった。

 おりしも現在、JR姫路駅の改装工事が進んでいるのだが、完成すると、駅に降り立った瞬間、姫路城の姿が目に入るのだという。もともと、眺望を考慮して姫路城の周囲には高層建築物がないのだが、いっそう美しく見えることだろう。

 ただひとつ残念なのは、地元のデパートなのか、天守閣から姫路駅方面を眺めたとき、「ヤマトヤシキ」という巨大な看板が、しかも赤地に白抜きでデカデカと屋上にそびえていること。抜け駆けというか、自分だけ目立てばいいというのはミエミエで、ヒンシュクものだ。

 今まで、いろいろな城を訪れたが、ベストは姫路城と安土城。安土城はほとんど痕跡が残っていないが、信長の突飛な心意気が随所に感じられ、それがために想像が膨らむ。

 一方、最低はわが宇都宮城。平安時代に築城され、関東七名城のひとつに数えられていたのに、復元なった城はまるでオモチャ。外国人にもFakeと言われる始末だ。将軍お成りのための城だったが、そういう雰囲気は微塵もない。入り口は無粋なコンクリートの門で固められ、わずかの高さなのにエレベーターまである。おまけに壕の周りは無粋な砂利が敷かれていて、昔を偲ぶよすがはなにもない。

 まがいものは人を呼ばない。巨額の税金が投入されたがいつも閑散とし、中途半端な姿をさらしている。

 いったい、どういう感性の持ち主があの復元に携わったのだろう。恥ずかしい限りです。トホホ……。

(120706 第351回 写真は、修復中の姫路城)

 

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