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紺碧の将

旅の記憶は一生もの

2012.04.03

 このブログのアップが1日オーバーしてしまった。

 特に課金しているわけでもないし、正確なインターバルでこのブログを更新する義務はないのだが、ときどき、「毎日チェックしてるんですがねえ……」などと呟かれるたび、「毎日は無理ですよ。まあ、中3日くらいならなんとかなりますので、それで勘弁してください」と弁解しているうち、「多樂スパイス」は中3日という暗黙のルールができてしまった。

 なぜ、中3日か? 特にこれといった理由はないが、大リーグの先発投手が中4日でシーズンを通して投げるわけだから、それよりは短いインターバルで頑張ろうと思った次第。

 

 世界の3大瀑布(イグアス・ナイアガラ・ヴィクトリア)を見たいと思ったのは、日本画家・松本哲男氏の作品に触れてからだ。巨大なキャンヴァスに描かれた滝の絵を間近で見て、実物はどうなんだろうと興味をもった。爆音、水しぶき、あるいは目や耳では感知できないものがあるのではないかと思った。

 イグアスの滝を訪れたのは、今から6年前くらいだ。ブラジルとアルゼンチンの国境沿いにある巨大な滝は、さながら地球の割れ目のようでもあった。水量が少ない時期と説明されたが、あの音と空気中に浮遊する水しぶきは想像以上だった。

 そして、昨年、ジンバブエとザンビアの国境沿いにあるヴィクトリアの滝を見るために、アフリカへの旅行を企て、申し込んだ直後、東日本大震災が発生。それどころではなくなり、今に至っている。

 じつは、まだアフリカへ行ったことはない(ちなみに、中国、韓国、香港、ロシアにも行ったことがない)。そろそろ行くべきだと、内なる自分が囁いた。なにかがあるぞ、と。サファリで大きな夕日を見たいとも思った。ところが、あの地震だ。まだ、行かない方がいいという警告だったのだろうか。

 思えば、国外に行かなくなった。以前は年に4〜5回行っていたが、めっきり行かなくなった。何が原因かといえば、『Japanist』を始めてしまって、まとまった時間がとれなくなったことと以前より海外に興味がわかなくなったことだ。

 海外に興味がわかなくなったのはいいことなのだろうか。今の若者は、海外旅行にもいい車を持つことにも興味がないという。私はものごころつく前に海外の小説に首ったけになり、海の向こうにはどんな世界が広がっているのだろうかと興味津々だった。また、車は自分の行動半径を一気に広げてくれる象徴のようなモノだった。それが自分だけのモノで自分の好きなデザインであったら、どんなにいいだろうと想像を膨らませた。それらがなんらかの動機になったかどうかはわからないが、少なくとも目標にはなった。今では笑える話だが、私が初めて海外に行ったのは2年間のローンを組んでのことだった。手持ちのお金がなくても行きたいと思ったからだ。ちなみに、そのとき訪れたのはニューヨークだが、あのときの衝撃は一生心に残っているだろう。当時のニューヨークは世界最高のアートの発信地だったし、あちこちにあるジャズのライブハウスには大物アーティストがタダみたいなチャージで演奏をしていた。

 結局、遊びすぎて帰国したら疲労困憊になり、点滴を打ってもらうという笑えない結末になってしまった。その後の2年間、旅費を分割で払い続けたのだが、日本にいるだけではわからない、多くのものを体験することができたのだから大満足だった。以来、なるべく時間とお金の工面をして海外に行った。

 見知らぬ世界へ行き、まったくちがう価値観や多様性を目の当たりにする。これは、生きていくうえでとても役に立っている。

 そうは言いつつも、中国、韓国、ロシアには死ぬまで行かないと思う。祖父の遺言でもあるしね……。

(120403 第330回 写真は、ブラジル側から見たイグアスの滝)

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